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rx_yziiwの日記

大野くんのこと

『鍵のかかった部屋』榎本演技と『魔王』について

 

Twitterでも呟いたのだけど、現在絶賛放送中の相葉くん主演ドラマ『貴族探偵』で面白い現象が起こっている。


勿論主演の相葉くんファンも熱心には違いないけれど、原作ファンの動向が余りにも異例で珍しく微笑ましい。
私は原作未読のため、リツイートされて来る原作ファンの、
「御前は人間的ではダメなのだ、相葉くんの演技で正解!」
という作品解説も交えた主演擁護をドラマと併せ、フムフムと興味深く楽しく拝読している。

前の『偏見』記事 ジャニーズにおける偏見そして炎上騒動 - rx_yziiwの日記 からの流れにもなるのだけど、例えばそれを相葉くんファンが主張しても、恐らくはただのジャニオタの盲目意見として一般にはまともには取り合って貰えない。
そんな意味でも原作ファンなど、作品精通者でありつつも映像化ドラマ作品や演者に対しては第三者的客観性も持つ一般視聴者という、最強で幸福な味方を今回得たわけだ。

他メンバーの芸事についてあれこれ語れる立場にはないので、相葉くんからは一旦離れるとして。




まぁ、そのように無機質な演技というのは難しい。下手すれば棒と思われがちだし、ながら見族には理解され難い。


そこで思い出すのは、大野くん主演鍵のかかった部屋榎本役。

あの役は多分彼が演じた映像作品の中でも最も細かい演技指導が監督から出されていた。
なるべく動くな、無表情に、目線さえ動かすべからず、など。まるでガラスの仮面『人形』役を彷彿とさせるかのようで。
しかも、その中で未だかつてない程の専門用語が盛り込まれた長い長い台詞も喋らなくてはいけない。そこでも「もっとぶっきら棒に喋って」と監督から指示が飛んだ。

だけど、そんな演技プランを私たちファンは雑誌やラジオから知っていても、一般視聴者は知るよしもない。
最終的にTVに映り、出されたものが全てなのだ。
そこで伝わらなければスタッフなり演者なりの力量不足だから言いわけ無用で諦める他ない。
たまにTwitter等でスタッフが後出し説明をして顰蹙を買っている様子を見かける事もある。

だから当初は、これは伝わらないかもしれない、せっかく魔王からの貯金(後述)で現在まで一般やメディアから頻繁に評されてきた『演技派』(私が言ったのではありませんよ!笑)の印象もこれでオシマイかもしれない。そう心配した。

ところが、よく見れば、表情筋はおろか眼球の動きまで制された、無表情のはずの榎本から心の機微、うっすらと微かな喜怒哀楽が絶妙に零れて見えるじゃあないですか。
それにはもちろん一般ドラマファンも気付いた。

なんだ、この人、すごいものを見てしまったなと、いや、本当に驚いた。

おまけに、眼球さえ動かすなと指示されれば、自らの意思では止める事も不可能なはずの生体反応で起こる反射的マバタキまで止めてみせるという人間離れした技を3話の将棋回10話の最終話で披露。
これには流石に当時ドラマファン含めて大野くんファンも、一体どうなってる!????と話題になった。人体の神秘!


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 ただ1つ、それでも滑舌だけが唯一如何とも擁護のしようもなく、よろしくはなく…。
「表情筋を制すれば口の筋肉も動かせず呂律も回らなくなるのは必然」というファンの一部擁護も見かけたが、前述の通り、出されたものが全てだと思うので。

そこで判断されるのみなので、大野くんのお芝居はまだ十分な伸びしろがある、これから精進も可能という事でこの先も楽しみだ、と私の中では納得した。
何より素晴らしく高度で器用な感情表現や身体能力の新たな引き出しを見せて貰えた事に感動しきりだった。
あのドラマで大野くんファンになった方の感性や観察眼に共感とお礼と拍手と握手をば。

 

 

【以下、榎本演技プランについての参考資料】

*TV LIFE 第22回 年間ドラマ大賞2012
主演男優賞大野智鍵のかかった部屋)インタビュー

(以下演技プラン部分のみ抜粋)
~略~ 演じた榎本径は、無表情だし、そんなに動かないし、話すときも抑揚をつけずに一定のトーンでしゃべり続けるっていう、僕の中では究極の役でした。例えば長ぜりふでも動きがあると覚えやすかったりするんですよ。でも榎本は動きがないから丸暗記するしかない。動きどころか眼球まで動かさないでって言われてたんです。『目、動かさないでね』って普通に言われて、またしても『ええっ!!』って(笑)。しかも僕がそうやって頑張ってる前で佐藤浩市さんと戸田恵梨香さんがイキイキとせりふを展開させてるわけですよ。キャラクターとはいえ、あの自由さはうらやましかったです。
(中略)
ずっと無表情だった榎本が最終回のラストシーンで悪い顔したのも印象的でした。僕の勘だと、あいつは盗んでますね(笑)。でもあの表情を演じるのは面白かったです。~略~


*ASIAN POPS MAGAZINE 第98号
相沢友子さん(脚本家)インタビュー

*これまでも異なる役柄を演じてこられて、その都度大野さんではない人に化けてきたと周りからも聞いていたので、自分に役を引きつけるのでも、役に寄り添っていくのでもなく、役に完璧に乗っかっていく、あまりいないタイプの役者さんなのだと思いました。

*(大野さん演じる榎本について)極力表情も動きも抑えてと言われている中で演じるのは、凄く難しいと思うんです。でもその動きなども含めて佇まいが魅力的というか、表情がなくても何も喋らなくても目で何かが伝わってくるというか、訴えるものがある…なんだか、とても寂しげなムードを持っていると思うんです。

 

 

最後に、前述の『魔王』について。
大野くんファンがあのドラマを殊更持ち上げる傾向に、同じ大野くんファン含め、煙たがる嵐ファンが居る事も理由も気持ちも知らないわけではない。
しかしあれは本当に稀有なドラマで。単なるキャラ萌えドラマには留まらない。

2008年本放送時のネット各界隈から、あとは私の知る限りでの再放送時のTwitter実況に至るまで、作品批判はあれど、皆無と言っていい程に著しく大野くんの演技に対しての批判が少ない作品だった。
そりゃあ最初は、あんな子供みたいな弁護士いるか!その他諸々(まぁ伏せますが)の批判は人並みにあった。
それがウソみたいなホントの話、回を重ねる内に見る見る減って行き見渡す限りの絶賛という現象は実に爽快で。
放送開始前に某爆弾を投下され途中で某核爆弾を投下され…、それでもドラマファンは見捨てなかった。スタッフ共々に熱かった。暑い、熱い夏だった。

だから、大野くんの演技はあれを見れば解って貰えると言うファンが多いのだろう。
榎本の演技を通には解るワビサビの銀閣と例えるなら、成瀬の演技は誰の目にも華やかな金閣寺といったところ(前にTwitterでも呟いた)。

勿論、怪物くんその他も見た目に騙されたら損をする、面白い演技の宝庫。

ダンスで鍛えた身体能力は演技にまで応用されている。生来のセンスを努力で固めたあらゆる頑強な基礎が、すべての芸事に通用する人だと思っている。
万華鏡のようにキラキラパラパラ次々と変化する、何者にでもなれる、同じ容姿の別人に会える、びっくり箱のように不思議な彼の繊細なお芝居がわたしは大好きだ。