ネコの尻尾を追いかけて

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映画『忍びの国』感想 その3(※とってもネタバレあり)字幕上映を観た

 

 

※ラストのネタバレもあり※

 





地元映画館でもようやく始まった忍びの国字幕上映 を早速観てきた。

おたく力発揮なのか、無門の台詞に取り零しはなかったけれど、他にはポツポツと聞き取れていない箇所もあり、また新鮮な気持ちで鑑賞する事が出来た。
一回観た方にも十回観た方にも、字幕上映 は是非是非おすすめ!


一例を挙げれば、下山甲斐
終盤の本戦で、とっくに愛想を尽かされた息子にまで「わしを守れ!」と見苦しく叫んでいたこの十二家評定衆は、冒頭の下山砦で我が子を殺めるつもりの「川」の指令前にも周りの下忍たちに向かって同じように叫んでいたんだなとか。
クズ設定が最初から一貫している事が更に強調されて解った。

Twitterで呟いた、信雄を身を挺して守っていた鯉?兜の重臣はやはり豊前守殿(ぶぜんのかみどの)」と字幕が出ていた記憶。

そして、エンドロールの主題歌「つなぐ」にも歌詞が字幕で流れるのが素晴らしい。
やはり映画本編とリンクさせているタイトルや歌詞なだけに、一般の方にもそれが担う役割に気付いて貰えると嬉しいし、自分自身にも再度染みる。

 

 

忍びの国』パンフレットより、中村監督談


主題歌の歌詞がまさにそういうものになっていて、僕の言いたかったことを感じてくれたんだなと思い、感動しました。

 

 



字幕上映もそうだけど、何度も通う内に“気付き”が増えて行く。
何度観ても飽きない作品とはそういうものなんだろう。


今日、なんとなく改めて気付いて切なくなってしまったのは、無門が失ったものはお国だけではないという事だった。


価値観の違う集団の中で、ずっと一人孤独に絶望し続けていた平兵衛は、十二家評定衆の謀略を話してもまだ響かない様子の無門にも哀しく絶望する。
それゆえ起こる、最期の「川」なのだけど…。

 

忍びの国』パンフレットより、中村監督談


川のシーンを編集している時には、思わず胸にこみあげてくるものがありましたね。二人は戦わざるを得なくなっているけれど、もし仲間ならどれだけ最強なコンビだっただろう。二人が組んでいたら無敵だったろうな、と。

 

「わしは…人として、死ねる…」
あの対峙の中で、変わって行く無門の心に気付いたからこそ平兵衛は穏やかにそう、目を瞑る事が出来たのではないか。
彼が無門に「人」の魂をつないだのではないだろうか。
やっと同じ「人」の心を持った伊賀者と対峙し無言の交流を経て、長い間の孤独からも解放されたのかな。

だけども、無門がようやく「人」として目覚めた時、もう唯一のその理解者はこの世に居ない。
何故なら、彼自らの手でそれを葬り去ってしまったから。

「フッ…虎狼の族(ころうのやから)か…」

今度は無門が孤独の世界に独り取り残されることになった。


そんな事を考えながら映画館を出たら、夏の真っ青な空が広がっていて、なんだか涙ちょろり。

 

忍びの国』僕は平兵衛は、人であることに憧れた悲しい忍びとして演じたつもりです。

復讐の連鎖を止めたのは平兵衛ではないのです。

 

 

鈴木亮平さんが、映画公開後に彼のTwitter公式アカウントでこう呟かれていた。

人間らしい愛情深さがある人だからこそ復讐者となるんだろうに、実際に復讐に手を染めれば妄執の鬼となり人間らしさを失って行くという、復讐者の常。
亮平さんは、平兵衛は極端だと思うと何かの媒体で話されていたっけ。


弟を殺されて、伊賀者への復讐心に燃え国を裏切り下忍を斬りまくった平兵衛と、
唯一無二の最愛の人を殺されて、反撃する事なく静かに立ち去り、彼女とも夢みただろう未来に人の命をつなぐ無門

変わる連鎖の形。

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そんな最後の希望「ネズミ」
雑兵の扮装を脱ぎ捨てネズミを見た瞬間の無門はヘラヘラ笑っていて一瞬変わっていないのかと思わせる。
が、次の瞬間、無造作にネズミの手を繋いだ無門の顔はもう以前の無門ではない。

ここの自然な表情変化も何気に大野くん上手いなと思った所。

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そして、Twitterでも呟いたのだけど、やはり同じ場所だろうと思う。

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冒頭で「虎狼の族(ころうのやから)」伊賀者がワラワラと通って来た獣道のような場所を、最後は子供の手をつなぐ「人」になった伊賀者が歩き去って行くという、心憎い伏線回収。
本当に最後まで抜け目がない映画だ。

 



ついでに。

時折見かける、織田側を正義とし伊賀側を人でなしの悪として描き切ってしまう価値観の決め付けってどうなんだ?問題については、
個人的にはこう思うので、記録として一応ここにツイートを纏め置いておく事にする。