ネコの尻尾を追いかけて

大野くんと、まつわる諸々、ツイートまとめも

「歌手は聴く方の代弁者 感情を込めて歌ってはダメ」

2015年2月21日放送
心ゆさぶれ!先輩 ROCK YOU

内容:演歌SP!ベテラン八代亜紀VS大注目若手の山内惠介

出演:加藤浩次大東駿介木南晴夏(以下敬省略)


~番組トークからの抜粋~


大東「それでは早速、お二人さん心ゆさぶるものは何なのか、探っていきたいと思います!まず最初はこちら!心ゆさぶる!“実は感情なんて込めてません!”」
木南「え~!」
加藤「ちょっと待って下さい!これは演歌歌うのにという事ですか?八代さん?」
八代「そうそうそう、感情込めない」
加藤・大東「えっ!?」
大東「そんなテンションで今おっしゃりましたけど、じゃあビックリです」
加藤「演歌って感情ありきじゃないですか?」
大東「ね?」
八代「違うの」

――あれ?今までゲストに来て下さったミュージシャンの皆さんは、こんな事おっしゃってましたが?

大東「(クリス・ハートさん)どんな曲でもそのキャラクターになり切る。『涙そうそう』は沖縄に住んでる人の気持ちを意識して歌う」
八代「そうね、そういう人もいるかもしれない」
大東「(中島美嘉さん)感情移入が激しすぎる。技術よりも“感情”と“伝える”ということが前に出ちゃう」
八代「う~ん」
大東「(JUJUさん)歌詞が、感情として経験したことが無い内容だったら絶対に歌わない」
八代「へぇ~。私、歌の中に自分の経験どれもないもん」
加藤「え?でもね、八代さん、『舟唄』で、『お酒はぬるめの燗がいい~』ってあるじゃないですか?」
八代「最高じゃないですか!」
加藤「入ってるでしょ?気持ち?」
八代「それ感情じゃない、八代の声なの」
加藤「声?」
八代「感情出てるように見えちゃうんでしょうね」
加藤「見えるだけ?八代さんの場合は?」
八代「そうです。感情入れると、自分の心も出ちゃうわけですよ。その歌手の人の人生観とか出ちゃうわけですよ」
加藤「それいいんじゃないですか?」
八代「ダメなの、それ」
加藤「え~!」
八代「歌は代弁しなきゃいけないと、私は思うのね。聴く方の代弁者。自分の事をこの声が歌ってくれてありがとうと思われなきゃいけない」
木南「自分の世界に置き換えられるように?」
八代「そう、聞く人の事なの」
加藤「木南にしても僕にしても大東にしても、歩んできた人生が違うから…」 
八代「違うでしょ?」 
加藤「だから『舟唄』聴いた時に、自分の『舟唄』にしてほしい?」
八代「そういう事。そうでないといけないと私は思ってるのね」
加藤「そうか、ただの代弁者であるべきだと?」
八代「代弁者です。失恋してて、辛い思いしてて、悲しい歌を歌えないの。で、ホントに恋人が出来て、とても幸せで、だから悲しい歌が歌えるの」
一同「へぇ」
加藤「でも悲しい経験も無いと、歌えなかったりしません?」
八代「そういうのはね、自分の中で消化して、楽しく歌った方が悲しく聞こえちゃう時ある」
加藤「はぁ~深い!!それは深い!!」
大東「受け手側はそれを聴いた側はそういう事なのか」
木南「難しい」
加藤「別れの時に、フッと笑顔とか作る方が悲しくなったりするもんね」
八代「その方が悲しいの。私はだから、悲しいね~辛いね~辛いね~辛いね~って(悲しそうに)歌わないの。辛いね~って歌った方がグッときちゃうの、みんな」
加藤「すごい!」
大東「確かにそうやわ」
加藤「今日ちょっと『舟唄』用意してるんで。それを踏まえてちょっと聞いてみましょうか?」

(♪『舟唄』流れる)

八代「軽く…」
加藤「言われたらそれ分かる!」
木南「悲しく歌ってないですね」
八代「ね~歌ってないの」
加藤「ちょっと八代さん自身、八代亜紀さんを入れて歌うとどんな感じになります?感情入れて歌うと?」
八代「え?入れてみると?作りね、オーバーにすると『しみじみ飲めばしみじみと~(すごく悲しそうに)』ってやったら嫌でしょ?」
加藤「ヤダ!」
一同「(笑)」
八代「でしょ?ヤでしょ?」
大東「それ重たいですね、なかなかね」
八代「これがだからダメなの。代弁者にならないといけない」

大東「続いていってみましょう!続いての心ゆさぶるものはこちら!心ゆさぶる!“裏の通用口で…”」
八代「10代の時に銀座で歌っててね、歌の心ってのを知ったんですよ」
加藤「え?10代で?」
八代「女心をね」

ーー銀座のクラブの裏にはこんなドラマがありました

八代「例えばさ、昼のクラブはね、綺麗なお姉さんたちがね、給料日になった時にね、裏口で給料もらいに来てる恋人とかいるんですよ」
加藤「へぇ~金の無心というかね」
八代「そう。その時に、あんな綺麗なお姉さんが、なんか辛い顔して『今日はこれ位しかないから、渡せないから』って言って、渡してる姿を私、見た時にすごく切なくて、なんか女心ってこういう事なんだなって、表では笑ってて、裏では泣いてるって言うね…」
八代「歌の心っていうのはそういう事なんだな~と思って、それで私、歌がちょっと変わったというか、『辛いね~』(辛そうに歌うん)じゃなくて、『辛いね』って歌うんですね。そしたらホステスのお姉さんたちが『うぉ~』って泣き出しちゃったんですよ」
八代「だからその自分なりの歌い方で歌うんじゃなくてね、辛い時は最後『辛いね~』って言うと、ガッって心をがつかめるんだなって事を知ったんですよ」

加藤「そこからガラッと変わったと?」
八代「そっからです。八代亜紀の今のプラスになってるの」



この八代さんのお話と同じことをテノール歌手の秋川雅史さんも話されている。
「千の風になって」で話題のテノール歌手、秋川雅史インタビュー - CDJournal CDJ PUSH

「この曲(『千の風になって』)を歌うようになってから、歌にとっての詩の大切さを今まで以上に感じるようになりました」
 しかし、歌い手として詩と向き合う方法は以前と変わらない。「詩に感情を込めて歌うのではなく、ひとつひとつの言葉を丁寧にメロディに当てはめることだけを考える」と強調する。感動を誘う歌唱からすれば逆説的にも聞こえるが、「そうすることで詩の持つ力を一層引き出すことができる。音楽の詩は聴く人が解釈するもの。歌い手がどう感じるかじゃなくて、聴く人がどう感じるかが大切だと思っています」


本日発売の『女性自身2019年1月1日・8日号』で大野くんが次のように話していているのを見て、すぐ八代さん秋川さんの前述トークを思い出した。

Q:歌を通して表現したいことは?
A:デビューから今も、自分の勝手な思いだけで歌わないようにしている。

大野くんと言えば、その透明感ある歌声による歌唱力の高さは恐らくファンの贔屓目なく広く知られるところのはずだが、クセの少ないストレートな歌い方をする為か、無機質無感情に聞こえると言う人も中にはいるようだ。
だけど、それが八代さん秋川さんのように意識的に行われているのならば、これまた彼のプロフェッショナルぶりに唸るばかり。


八代さんが「そういう(感情を込める)人もいるのかもしれない」と言われている通り、もちろん歌唱スタイルも様々だと思うしそこに優劣など無いだろう。
ただ、長年ファンの間で幾度となく挙がっていたこの話題。
他のベテラン実力派歌手の方々も取り入れている同じスタイルを、私の推しもナチュラルにそして長年一貫して意識して来たと、言葉少ない彼自身の口から語られた事が何だか面白く、ここに記しておきたくなった次第。

因みに、大野くんの歌声の最大の特徴は「哀愁感」を帯びている点だと分析したのは2010年の日経エンタテインメント。
実は私にもそう聴こえることは多い。
だけど、そう聞こえる哀愁感もまた、あの歌声が単に聞き手である我々の感情の受け皿になっているだけの事なのだろうか…?

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まぁでも、彼のソロドラマ挿入曲『ユカイツーカイ怪物くん』について大野くんが「怪物くんはこんな感じかなと思って能天気に歌った」と自身ラジオで話していた事もある。
主演ドラマ『歌のおにいさん』ソロ主題歌『曇りのち、快晴』にも『健太』を感じるというファンは多い。
臨機応変は当然あるんだろうね。

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ミュージカルだったら、ただ歌って音程合ってるだけがいいかって言ったら違うと思うし。やっぱりそこに感情が入ってなきゃいけないし、とか考えると、別に綺麗に歌う事だけがうまいわけでもないんだろうなあ(2017年 CUT)